生コン会社が開発した、
ローラーで塗れるコンクリート。
コンクリートを生業にして創業39年。
宮城県の生コン屋がチャレンジするプロダクト。
NURUCONを開発した株式会社タイハクは、宮城県名取市に本社を構える生コンクリート専門会社。昭和58年の創設時から、生コンクリートや関連資材の製造販売を行っている。宮城県内に3つの工場を構え、コンクリートミキサー車も多数所有。コンクリートを必要とするあらゆる場面できめこまやかに対応し、宮城県全域にシェアを拡大してきた。長年コンクリートを扱ってきたコンクリートの専門家として、コンクリートのことを知り尽くしているからこそ生まれる「こんな製品があったらいいな」というひらめきや遊び心を原動力に、日々新商品の開発を行っている。
そんなタイハクが現場での課題に向き合う中で生まれた「コンクリート用の化粧剤“NURUCON”」の新規ブランディングプロジェクトをブライトが担当。2020年1月にご相談いただき、2021年2月に第1弾の製品をリリースした。ブライトでは、ネーミング立案、コンセプト、スローガン、ステートメント、ロゴマーク、紙媒体デザイン、パッケージデザイン、ウェブサイト、印刷、コピーライティング、商品撮影、プロモーションムービー撮影、HOWTOムービー撮影、売り場ポップデザイン、サイネージ広告デザイン、ブースデザイン、プレスリリース、SNSの更新サポート他、ブランドに関わるすべてを担当した。


スタッフの一言から生まれた
新しいコンクリートのカタチ。
表面の色むらが原因で、打ち直しになるコンクリート。「たびたびクライアントから調査を依頼されていたのが、作り終わったばかりの新しいコンクリートの表面に色むらができてしまうという事例。コンクリートの特性上防ぐことが難しく、性能には影響がないのに、美しくないという理由だけでせっかく作ったコンクリートを取り壊し、一から打ち直しになる場合が多く悲しかった」と、コンクリート診断士である開発担当者はいう。
誰でも、簡単に使用できる化粧剤をつくる。「この問題の解決に役立つ商品は存在しない。それなら、自分で開発してみよう」。安価で手軽に、誰でも簡単に使用できる製品を目指して開発が進められたが、これらを実現させることに苦労した。こうして試行錯誤して製品化されたNURUCON。「コンクリートを扱うあらゆる施工現場で、NURUCONが活躍する日が待ち遠しい」
新しい製品だからこそ、
直感的でわかりやすいネーミングを。
今までNURUCONのようなコンクリートの美観回復を目的にした製品や、ペンキや塗料でもなくコンクリートの成分が入った製品というものはなかった。今までにないからこそ、市場にとって何ができる製品なのかが明確に伝わり、使い方や製品の特性をちゃんと説明する必要があった。そのため、ブランドの川上にあるコンセプトやネーミングをできるだけシンプルに表現した。「塗る」と「コンクリート」。文字数を減らし、誰でも伝達しやすいよう、そのままの状態を文字化した。ブランド価値を守るため、“NURUCON”で登録商標を取得した。
コンクリートを「塗る」という特性を、
そのままロゴマークで表現。
ペンキのようにローラーで塗ることができるコンクリートという製品の特性をロゴマークとして設計。タイプフェースは通常、人間の視覚的な問題で縦横の比率を調整して均等に見えるよう調整するが、NURUCONはローラーで塗った跡のように均等幅を意識し、縦横の比率調整を最小限にした。あえてきれいにしすぎず「ローラー」というブランド軸を中心に、ある種、素人がつくったようなタイプフェースを計算しながら、何度も微調整を重ねて設計した。ブランドカラーはコンクリートという特性からシンプルにグレーで決定。
はじめに開発した、
グレーとホワイト。
ブランドの基礎設計からパッケージのデザインを行った。まず製品化したのはコンクリートそのものであるグレーと、色味の調整用(下塗り)のホワイトという2色。容器のサイズは2タイプで、ボトルを開けてそのまま塗ることができる2Lタイプと、希釈して広範囲を塗ることができる15Lタイプ。統一されたブランドルールがここで設計された。
スチール撮影と、
プロモーションムービー。
NURUCONのリリース日であった、日本最大級のDIY・プロ用ツール商談会「ツールジャパン」に焦点をあて、必要なものを順に制作していった。ウェブ媒体や紙媒体で必要となるビジュアル撮影や、イベントブース内で訴求するプロモーションムービー。施工方法を伝えるためのHOWTOムービーのディクレションを行った。
ブランドを伝えるために、
必要なツールの作成。
NURUCONの世界観を伝えるため、様々な媒体物を制作した。リーフレット・フライヤー・ブランドブック等の紙媒体、パッケージデザイン、ウェブサイト、プロモーションムービー、HOWTOムービー、売り場のPOP、デジタルサイネージ広告、イベントブースなど、製品が誕生してから流通に乗せるまでに必要なもの全てを担当した。


製品のリリースのための、
イベントブースのデザイン。
幕張メッセで行われる「ツールジャパン」へ出展するため、ブースのデザインを行った。初回の出展では、全国区で展開するホームセンターのバイヤーや塗料メーカーなど多くの反響があり、卸先の契約へ数件結びついた。これにより、現在は全国のホームセンターでNURUCONが販売されている。
こうした商談会を通し様々なパターンの取引を進行していく中で、新たな課題も見えてきた。BtoBで業者向けの取引の際には成分の試験結果が必要であり、BtoCで一般客に向けた販売をするにあたり製品の特徴や施工方法をより分かりやすく説明するものが必要になった。販売開始して分かることが山ほどある中で、こうした課題にも一つずつ向き合い、日々話し合いを重ねながら改善を行っている。
初回の製品リリースから見えた課題に向き合い、
二人三脚で解決・サポートする。
現在、NURUCONは、シリーズ展開や目的が異なる新製品の開発を控えており、全体を包括するブランドへとブランディングルールをアップデートしている。ブランドは成長段階で、チューニングが必要になる。そのためブランド全体を包括していくスローガンとステートメントを改めて開発し、ブランドブックの制作も行った。
この他にも、ブライトでは作って終わりではなく一緒にブランドを育てていきたいという想いから、製品リリース後も、製品を市場にもっと知ってもらうための取り組みをサポートしている。一例としては、TVや雑誌等へのプレスリリース、SNSの運用サポートとしてアカウントデザイン・投稿フィードの企画・デザイン・更新管理などを行っている。また、定期的にヒアリングする時間を設け、売り場からのフィードバックやお客様からの声を参考にしながら、媒体物の更新や新規提案を行っている。
こうして継続的に関わらせていただくことで、提案する立場の自分たち自身も市場の動向を知る大切な機会となり、日々の地道な積み重ねではあるが、ブランドをより輝かせたいという想いで並走しながらサポートを行っている。
詳細
クライアント
ブライト
ブランディングディレクター・デザイナー : 荒川敬 / デザイナー : 針生椋平 / コピーライター : 伊藤優果 / プロジェクトマネージャー : 荒川瞳
ブライト以外の方々
映像 : Mathieu Moindron(マチュモアンドロン) / 撮影 : Mathieu Moindron(マチュモアンドロン)・ SEND(窪田隼人) / ウェブデベロッパー : WANNA(松浦隆治)
メディア
グッドデザイン賞2023 受賞
究極のロゴデザイン 掲載
リンク
その他

誰の暮らしの中にもある、 “間(ま)”を作る菓子屋。
菓子時間ムギ
店舗 資金計画 コンセプト ネーミング スローガン ステートメント コピー ロゴ パッケージ グラフィック 空間 サイン 施工 ウェブ 撮影 スタイリング 商標 ソーシャル 自社運営
自社で運営している飲食事業の店舗「焼菓子とごはん CAFE MUGI」。「菓子時間ムギ」へと店名も新たに、カフェから菓子店へのリブランディングを行った。2017年のオープン以降、マフィンとチーズケーキを中心とした焼菓子と、定食などのごはんを楽しめるカフェとして、店舗や仙台駅周辺での催事出店を中心に営業してきたが、高まる需要に対して菓子製造の生産能力を高める必要があり、店舗の大規模リニューアルと合わせて、お店の在り方やコンセプトを一から見直すリブランディングを行うこととなった。店舗スタッフとともに何度もミーティングを重ね、“お菓子の時間を大切に”というスローガンを策定。そこからネーミング、商標登録、ステートメント、ロゴマークへと展開していき、紙媒体、ウェブサイト、撮影、店舗サイン、ショップツールに至るまでのすべてを担当した。